京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
平和情報ステーション

留学フェア@ガーナ

2017年2月12日から18日にかけて、西アフリカのガーナ共和国を訪れ、「日本留学フェア(於ガーナ共和国)」に参加してきた。この催しは、文部科学省の「留学コーディネーター配置事業」に採択されている北海道大学が、ザンビアに設置しているルサカ・オフィスと本部の国際連携機構の主催で企画したものである。ガーナから日本の大学への留学を促進することを目的としており、同様なフェアはこれまでアフリカの他の国でも実施されてきた。

写真1:留学フェアがおこなわれたガーナ大学The Great Hall

私はここ数年、ガーナ北部地域に家畜としてグラスカッター(アフリカタケネズミ)を導入するプロジェクトに関わっている。ガーナ経験がそれほど長いというわけではないのだが、そういったいきさつで、京都大学を紹介するという役目を担って渡航することになった。

フェアに参加した大学、機関はわれわれ京大の他、北大、金沢大、国際大、東京医科歯科大、三重大、JASSO(日本学生支援機構)、JSPS ナイロビ研究連絡センター、在ガーナ日本大使館であった。京大からの参加者は、木村、アフリカ地域研究資料センター研究員の彭宇潔さん、URAの笠原のりこさんの3名であった。

写真2:フェアに集まったガーナ大の教職員、学生のみなさん

日程は以下のとおりである。
2月12日出国後、13日首都アクラ到着、ガーナ大学のゲストセンターに宿泊。14日午前、ガーナ大学のオウス副学長(日本で学位を取得されている)を表敬訪問、午後にガーナ随一の進学校と言われる高校(Presbyterian Boys’ Secondary School)で留学説明会開催、のち在ガーナ日本国大使公邸にて夕食会。15日、ガーナ大にて学術交流ワークショップおよび日本留学フェア開催。16日帰国の途に着き、18日帰国。
なおこの間、グラスカッタープロジェクトのカウンターパートであるガーナ大学のBoniface Kayang博士および研究室の方々にさまざまな面で大変お世話になった。

留学フェアにはどのくらい学生が来てくれるのか心配していたが、蓋を開けてみるとたいへん盛況で、80部ずつ用意していたパンフレット類もほとんどなくなってしまった。京大のブースに来た学生の質問で多かったのは、「自分の専攻はこれこれなのだが、京大に留学してそれができるか」というものと、「留学のための奨学金等はあるのか」というものであった。
前者に関しては、われわれ3人も大学内のそれぞれの研究のことを熟知しているわけではないので、「とりあえず部局の窓口にメールして聞いてみてくれ」などといった回答しかできない場合が多かった。今後、留学生と各部局・研究室とのマッチングをおこなっていく仕組みを作ることが必要だと感じられた。
後者に関しては、京大独自の留学生のための奨学金はないので、国費留学生を狙ってくれ、と答えるしかなかった。

今回、主催の北大からは,京大アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)卒業生の成澤徳子さん(ルサカオフィス副所長)、大門碧さん(同・特定専門職)が参加しており、フェアの運営を切り盛りしていた。また在ガーナ日本大使館の職員の飯田雅史さん(ASAFAS卒業生)、JSPS ナイロビ研究連絡センター副所長の上村知春さん(ASAFAS在学生)も、それぞれフェアにおいて講演をおこなった。

さらに、以前アフリカ地域研究資料センターのカメルーンJST-JICAプロジェクトで事務をしていた片山愛惟さんも、草の根無償の委嘱員として大使館に在籍しており、フェア終了後の打ち上げに参加してくれた。打ち上げはさながらASAFAS・アフリカセンターの同窓会のような雰囲気であった。われわれのネットワークが、アフリカのさまざまな地域に着実に根を広げつつあることが実感された。

ガーナは野口英世の黄熱病研究で知られるように、古くから日本と関係の深い国である。またガーナ大も、副学長オウス先生をはじめとして、日本に留学経験を持つ役職者が多い。熱心な学生諸君の声を聞き、ぜひ多くの人に日本に来てほしいと感じた。ただ、そのための仕組みはまだ十分とは言えない。現在京大でも「吉田カレッジ構想」など留学生呼び込みのためのプログラムが立案されていると聞くので、今後に期待したい。(木村大治)