京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
研究支援プログラム

2020年度・第3回フィールドワーク研究会のお知らせ

フィールドワーク研究会では、ソーシャルメディア分析をおこなっている研究者をお招きして、下記の要領で研究会を開催します。
ソーシャルメディアの分析は、人の移動や、政治、社会運動、生業、観光、文化変容、人間関係、ヒトとモノの関係など、さまざまな研究対象を考える上で重要になっています。また、現在世界中に蔓延しているコロナウィルスの影響で、現地でのフィールドワークが難しい状況にあります。間身体的な<場>を持つ機会が失われているなか、デジタルメソッドの考え方や手法を学ぶ必要性も増しています。「オンライン疲れ」という言葉も出てきていますが、この状況もまた、人間の新たな生存技法への適応過程と考える事もできるかもしれません。まだ誰も正解は持っていません。試行錯誤しながら、現在を考えていきたいと思います。

【講演タイトル】Digital Methodsの紹介

【講師】菅原裕輝 氏(大阪大学大学院人間科学研究科・特任研究員)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、フィールドワークを行う研究者は調査地への移動や調査対象者との現場での接触を行うことができなくなっており、現場でエスノグラフィーを書くことも極めて難しくなっています。
しかしながらそうした状況においても、例えばフィールドワークを行う学生の卒論・修論・博論の期限は迫っており、学生は研究を行い論文を書かなければならないという状況にあります。
移動や接触が制限されるなかでの実際的な対応が求められている一方で、近年、Digital Ethnographyなどの分野を中心として(e.g. Pink et al. 2016 Digital Ethnography)、現代的な生活はオンラインとオフラインが複雑に組み合わさって形成されており、オンラインとオフラインの複雑な関係性を捉えることが文化の記述・説明においても重要であるといった認識が広まりつつあり、そうした認識に対応した新たなエスノグラフィーの開発も行われてきております。
今回のセミナーでは、オンラインで収集可能なデジタルデータ(テキストデータ/画像データ/動画データ/ネットワークデータなど)に基づいて社会・文化を分析する”Digital Methods”(e.g. Rogers 2019 Doing Digital Methods)を採りあげ、Digital MethodsをDigital Ethnographyの一手段と捉えたうえで、質的な分析に活用可能な方法を(技術的側面に焦点を絞り)紹介します。