「2019年度エクスプローラー・プログラム」の実施レポート
エクスプローラー・プログラム(以下、EP)は、主に博士予備論文提出前の学生が、現地で語学力を向上させたり、フィールドワークや資料収集をおこなったり、技術習得や社会経験としてのインターンシップなどの実施を支援するプログラムです(博士予備論文提出後の学生や3年次編入生も応募可能)。2019年度にEPを利用して渡航した大学院生は合計62名、うち、JASSO(日本学生支援機構)の海外留学支援制度を利用して渡航した学生は45名でした。以下ではこのデータに基づいて、2019年度の実施レポートをまとめました。
昨年度は、4月10日にEPに関するオリエンテーションを実施し、プログラムの概要や応募方法を説明しました。EPの募集は「Webエントリー」と「本応募」の二段階でおこないました。Webエントリーは、EP応募者に関する渡航計画の全容を把握するため、4月15日を期限としてフォームに入力してもらいました(期限までにエントリーを済ませなかった場合は応募不可)。エントリー後は、以下のように出発日に基づいて本応募のための研究計画を提出してもらい、応募の採否は、研究計画の妥当性や語学力、渡航予定地の危険性などに基づいて支援室委員により判定されました。
6-7月出発予定の場合:応募締め切りは4月17日(採否通知は4月18日)
8月出発予定の場合:応募締め切りは5月29日(採否通知は6月3日)
9月以降に出発予定場合:応募締め切りは6月26日(採否通知は7月1日)
図1は2019年度のEP利用者の出発月をまとめたグラフです。EPを利用して渡航が可能になるのは原則として6月以降であり、もっと出発する人が多かったのは8月であり、以降は漸減していきました。この傾向は毎年ほぼ同じです。特に1年生の場合、渡航準備に時間を要するので、8-9月に出発する人が多くいました。
図2は2019年度のEP利用者の滞在月数をまとめたグラフです。EPでは最長1年間渡航することが可能ですが、3ヶ月間の渡航を選択する人が最も多く、4ヶ月以上になると少なくなります。博士予備論文を執筆する場合、1年次と2年次に3ヶ月ずつの海外渡航をおこなう事例が一つの典型例と言えるかも知れません。1年生に関しては、準備に時間が掛かった場合には年末年始に渡航して6ヶ月間に渡って現地に滞在する例もみられました。
表1は派遣地域ごとの渡航期間を示しています。研究対象や研究の手法によって必要なフィールドワーク等に必要な期間は異なると考えられますが、西アジアに渡航する学生は文献調査を中心とする人が多いため、比較的渡航期間は短くなっています。
2020年度は、海外渡航に関して非常に不透明で判断が難しい状況が続いていますが、少しずつ状況が改善する兆しも見えてきています。調査地に関する先行研究や文献などを収集しつつ、現地の状況に注意を払っておけば、もし渡航が可能になった場合でも素早く動くことができます。ここで示した資料を一つの参考としてください。