Current Situation of Non-Members of Rubber Smallholder Cooperatives in Thailand: A Case Study in Chumphon province
Research background The Thai Government established rubber smallholder cooperatives in the 1990s when many smallholder…
世界的な人口増加に伴う水産物需要の高まりは、水産物の輸出拡大を促進し、水産資源の枯渇とも相まって、産地社会における水産物の稀少化を招いている。特に、人口増加が著しいアフリカ地域では、砂漠化による農地や牧畜可能な土地が減少していることから、食料・職業の観点からも漁業・水産業の重要性は高まっている。本研究の調査地である西アフリカのセネガル共和国は、国民が一年のうち消費する動物性たんぱく質の70%を魚に依存しており、労働人口の約15%を零細水産諸アクターが占めている漁業大国である[Dubois and Zografos 2012]。しかし現在、セネガル国内では水産物の輸出拡大や資源の枯渇を背景に水産物の稀少化が問題となっており、それに伴って、零細水産アクター、特に女性の零細水産加工業者の失業が引き起こされている。
本研究は、生活基盤の変容に対する人々の生活戦略を、セネガル漁村における零細水産アクターの水産物利用と流通にかんする調査をもとに明らかにするものである。失業や水産物の稀少化など様々な課題があるとされる漁村において、現在も零細水産業に従事する人々の生活を記述する。
本渡航ではンブール県南部の漁村にて、参与観察、半構造化インタビューを行った。大まかな調査内容は、①現在調査村で行われている水産業にかんする調査、②過去から現在にかけての村内水産物流通の変遷である。また調査村における水産物流通の全体像を多角的に明らかにするために、漁師に限らない水産物流通を担う零細水産諸アクター(仲買人、加工者、魚商人など)を調査対象とした。これにより、調査村において零細水産諸アクターにおける流通がどのように行われているのか、またその流通の仕方にどのような変化があったのかについて、理解を深めることができた。
聞き取りの結果、水揚げされる水産物の種類が過去50年にわたり変化しており、それに伴い村内での水産加工のあり方も大きく変わっていることが明らかとなった。現在では主に貝類加工が女性によって行われているが、かつては魚類が多く水揚げされ、魚類の塩干や燻製といった加工が主流であった。さらに、現在水揚げされている貝類の種類や量も変化しており、とりわけ「イェット(Cymbium pepo)」と呼ばれる貝の水揚げ量の減少は、その加工方法の選択肢を狭めたという。
さらに、水産物流通の場所、取引の方法や単位、仕事内容などにも変化が見られた。かつては村内に「ドミン」呼ばれる水産物取引の場が二か所存在し、南北に広がる村内の浜辺全体で水産物流通が展開されていた。しかし2016年に日本の支援で建設された港の完成以降、港とその周辺の浜に水産物の取引が集中し、他の浜での取引は以前に比べ活発ではなくなったという。また港建設以前は、船主の親族である女性がイェットなど村内加工をする水産物の流通を担っていたが、現在では船上に置かれた水産物を囲みながら、ジャーイガルと呼ばれる競り人や漁師を中心に、仲買人や商人との競りによる取引が行われている。なお、この競りの形式も過去10年の間に変化している。
今回、競りにかんする調査を進めることで、彼女・彼らの仕事の障害になってしまっているのではないかと感じることがあり、本格的な調査に踏み切ることができなかった。今回の渡航によって、言語力の向上と現地の人々との信頼関係を築けたと感じているため、次の渡航では調査方法や形式などを現地の人々にさらに相談しながら調査を進めたいと考えている。また今後は、水産業の現状と変遷にかんする理解をさらに深めるとともに、水産物を人々の日常的な食の面からも捉えていきたい。
DuBois and Christos Zografos Carolyn. 2012. Conflicts at sea between artisanal and industrial fishers: Intersectoral interactions and dispute resolution in Senegal. Marine Policy .
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