ブータンの国家政策において、初等教育の量的拡大は重要政策の一つと位置付けられてきた。国土の多くが山々に拒まれた地形であるが、それぞれの農村に小規模な学校を設置して教育機会を保障しようと努めてきた歴史を有する。このような量的拡大が一定の成果を果たしてきた一方、近年は「教育の質」向上や財政支出の効率化などを目的に農村部小規模校の統廃合を進めている。一方、ニュージーランドや日本等の文献で示されてきたように、学校には住民の交流や活動を支える機能や地域の象徴としての機能があり [Kearns et al. 2009ほか]、ESD(持続可能な開発のための教育)の観点からも地域社会の持続的発展のために教育が果たす役割は大きい。
平山雄大. 2009. 「ブータンにおける近代学校教育の特質とその課題」『早稲田大学教育学会紀要』10: 132-139. Kearns, R. A., N. Lewis, T. McCreanor and K. Witten. 2009. ‘The status quo is not an option’: Community impacts of school closure in South Taranaki, New Zealand. Journal of Rural Studies 25: 131-140. Ninnes, P., T. Maxwell, W. Rabten, and K.Karchung. 2007. In Pursuit of EFA: Expanding and Enhancing Multigrade Schools in Bhutan. Education for All 8: 181-199. 佐藤美奈子. 2019. 「ブータンにおいて学校寮制度が担う役割と民族言語文化の継承」『社会言語科学』22(1): 142-156.