沖縄における座り込みの起源と広がり
研究全体の概要 本研究は、沖縄における社会運動の抗議レパートリーの様体:特にその起源と広がりを明らかにするものである。社会運動研究における抗議レパートリーとは、抗議に用いられる手段のセットであり、座り込みやシュプレヒコール、プラカードの持…
本調査では、ソヴィエト連邦崩壊後の中央アジアにおける国際関係を題材にした、文献(学術書、ジャーナル、ニュース)を収集することで、研究に必要なデータの確保を目的としている。1991年以降、中央アジア情勢の変化は国際政治の中で重要な意義を持ってきた。当該地域の安全保障問題を研究する上で、当時の報道やロシア語圏で出版された学術書・ジャーナルを分析することは不可欠である。北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターの附属図書室は、国内有数の旧ソ連地域の政治、経済、歴史に関する文献量で知られており、上述の研究に必要な情報が集積されている。今回の調査では文献の収集だけでなく、中央アジアの現代政治研究の第一人者である、北海道大学の宇山智彦教授と面談をする貴重な機会を設けることができた。調査の結果、当時のニュースや北大にしかない文献を数多く収集できただけでなく、自らの研究の立場を定めることができたと考えている。
ソ連崩壊以降、中央ユーラシア情勢はさまざまな分野において注目を集めてきた。特に安全保障問題は、独立直後の中央アジア諸国[1]の体制を脅かし、また多国間協力の枠組みが発達する契機にもなった。隣接するアフガニスタンでの米軍撤退とターリバーンの実権掌握という激動は多大なる影響を及ぼし、中央アジアにおける安全保障研究が今後も注目される証左である。本研究では、中央アジアの安全保障問題に対する取り組みを、他の4ヵ国及びアフガニスタンと国境を接し、イスラーム過激主義組織による問題やクルグズスタンとの民族紛争を経験したウズベキスタンの外交政策を分析することを通じて評価する。報道や政府文書を使って、政府が表明している具体的な脅威やそれに対する対策、あるいはウズベキスタンが関与する二国間・多国間協力関係の変動と、中央アジア諸国だけでなくアメリカやロシアといった大国の当時の情勢との関連性の分析を具体的な手法とする。
[1] ウズベキスタン、カザフスタン、クルグズスタン(キルギス)、タジキスタン、トルクメニスタンの5か国。
1991年以降の中央アジアの国際関係に関する書籍・学術誌を調査することができた。事前に調査する予定だった文献だけでなく、図書室で見るまで知らなかった書籍・資料集も目にすることができ、予想外の収穫となった。書籍の電子化が進む中で、実物の書籍を揃え、明確に分類分けされている図書室特有の包括的な情報の視認性、あるいは探していた文献との偶然の邂逅が貴重であるということが分かった。
さらに現時点では京大からアクセスできない、旧ソ連地域のニュースや文献をまとめているデータベース “integrum” から情報を収集することができた。主にアクセスしたのは『ウズベキスタンのニュース(Новости Узбекистана)』や『ウズベキスタン国家通信社(Национальное информационное агентство Узбекистана)』などである。これらの記事は外部のインターネットからもアクセスできるが、古い記事はリンクが切れていたり検索エンジンからは閲覧できない記事もあるため、データベースを用いて包括的に記事を収集することが重要となる。 最後に宇山先生との研究面談で得られた知見や視点をまとめる。まず中央アジア諸国間の関係において、多国間協力関係だけでなく、二国間関係も視野に入れるように指摘いただいた。多国間関係と二国間関係の相互関係における分析の可能性もあることに気づく契機となった。次にアフガン情勢と中央アジア諸国の対応について、国ごとの態度の違いについて解説いただいた。その他にも現地での体験や権威主義体制の台頭についての議論にお付き合いいただいた。中央アジアの諸問題を理解することは、普遍的な政治の議論に通じているということを改めて感じ、研究の意義を再確認した。
今回の調査では、国内では北大にのみ保存されている文書・データベースからの情報収集と、博士予備論文にむけた研究面談が主な目的であったが、十分な成果を挙げることができたと考えている。しかし最も規模が大きい中央図書館については、新型コロナウイルス感染症対策で学外者の立入りが制限されており、閲覧できなかった文献もあった。制約がある中での中央図書館からの文献取寄せや、図書館の利用方法のレクチャーをしてくださった兎内先生と図書館のスタッフの皆さま、そして研究面談をご快諾していただいた宇山先生に、厚くお礼申し上げたい。
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