ヒロイズム・ミュージアム開設事業の実施にあたるタスクフォースには、主要国立博物館で実務経験を積んできたベテランの博物館職員が多く採用されていることが確認された。本調査では、ナイロビ国立博物館で勤務するタスクフォースの中核メンバーを対象としてインデプス・インタビューを実施した。インタビューの中で、特定の民族や地域について展示を通じて示すことが、ケニア国民の他民族・他地域に対する反感などの感情を喚起する可能性について問うた。問いに対し、展示物の数量やインパクトのバランスにも配慮し、47の全州を隈なく調査した上で、属性が過度に偏らないよう展示内容を慎重に決めていくと彼ら・彼女らは答えた。雇用する博物館職員についても、出身地・民族・性別・宗教・障害の有無や種別などに関して、属性が分散するよう選んでいきたいと彼ら・彼女らは語っていた。また、政権交代に伴い管轄の省庁が変わったこと、或いは拠出資金や手続きの流れがしばしば滞ることなどが、博物館完成が遅れている要因だとも指摘していた。 以上のようなインタビュー調査のほか、ナイロビ国立博物館にあるアーカイブと附属図書館で文献調査も実施した。ヒロイズム・ミュージアムが属するケニア国立博物館(NMK:National Museums of Kenya)という組織の年次報告書・タスクフォースの組織図や活動予定表・責任者名簿・メールの授受記録などを閲覧した。「国民的英雄とは誰か」、「英雄が各県でこれまでどのような方法で評価されてきたか」、「今後はいかに称揚されるべきか」などといったテーマで、各県で開かれた公聴会や会議の記録も入手できた。そのほか、ケニアのウフルガーデンと条件が似通っている他国の英雄広場において、どのような方法で英雄が称揚され、いかにその区域が運営管理されているかという先例を調査するため、ナミビア・ジンバブエ・南アフリカ・アメリカなどに調査チームが過去に派遣されたことも明らかとなった。