ケニアの都市零細商人による場所性の構築過程に関する人類学的研究――簡易食堂を事例に――
対象とする問題の概要 ケニアでは2020年に都市人口の成長率が4%を超えた。膨張するナイロビの人口の食料供給を賄うのは、その大半が路上で食品の販売を行う行商人などのインフォーマルな零細業者である。その中でも、簡易な小屋のなかで営業されるキ…

ラダックはインド最北部のインド・ヒマーラヤ地域に位置する、4000m-7000m級の山々に囲まれた高標高、乾燥地帯である。その厳しい地理的特徴から、人々は互いに協力し合い、自然資源や動物資源を持続可能な形で利用し生活してきた。長閑な伝統的生活の一方、教育について多くの課題がある。中央から離れた山岳部であるため人・金・物の教育資源が不足している点や、国境地帯であるため、様々な言語を母語とする生徒がいるにも関わらず、試験のために複数の言語を短期間に習得しなければならず混乱が生じている点がその一例である。
本研究の舞台であるSECMOLは、このようなラダックの教育問題を解決するため1994年に開校されたオルタナティブスクールである。本研究では、座学以外の「経験を通じた学び」を重視しているSECMOLの教育がラダックの若者にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにする。
本研究の目的は、SECMOLがそこに通うラダックの若者に対してどのような影響を及ぼしているのか、またSECMOLがラダックの教育の現状においてどのような役割を果たしているのかを明らかにすることである。

今回のフィールドワークから得られた知見について、①参与観察から得られた知見 ②インタビューから得られた知見に分けて記述する。
① 参与観察から得られた知見
今回のフィールドワークでは、ラダックの全寮制オルタナティブスクールであるSECMOLに約2か月間滞在し参与観察を行った。
SECMOLでは「Bright Head, Kind Heart, and Skilled Hands」をモットーに1年制の教育プログラムを実施している。生徒はラダック中から集まった18歳〜20歳の男女が40名ほどで、基礎コースとギャップイヤーコースに分かれている。前者はインドで10年生と12年生(どちらも日本の高校生の年代)で行われる試験において落第した子が入学し、後者は試験には合格したものの、将来やりたいことが見つからない子やSECMOLのユニークなプログラムに惹かれた子が入学する。
そのため、SECMOLでの学習方法は非常にユニークである。座学ではなく実践や経験を通じた学びを非常に重視しており、机や教科書はない。三食の食事には生徒が畑で育てた野菜が使われ、畑仕事や乗馬、ジャム作りキャンプといった活動が行われている。また、責任と自信(をつけること)も非常に重視されており、キャンパスの整備や日々の運営は全て生徒主体で行われる。
② インタビューから得た知
SECMOLに入学する前後での当事者の変化や卒業生の進路、SECMOLのシステムなどを明らかにするため、生徒、スタッフ、卒業生にインタビューを行った。
その結果、SECMOLの教育内容や教師の質に満足している生徒が多いことが分かった。卒業生についても一部は「SECMOLは私の人生のターニングポイント」と話すほど愛着があり、SECMOLでの教育に影響を受けて事業を始めたり、進路を決定したりしている。
反省としては、調査対象の偏りとデータ数の不足が挙げられる。前者について、SECMOLは非常に特殊な教育施設であるため、当該地域における一般的な学校のシステムをよく理解し、それらと比較することでSECMOLについてもより理解が深まると考える。一般的な学校は昨年の渡航時に訪問したものの、インタビューはあまりできなかったため、長期的な視点で計画的に調査を行うべきだった。
後者について、今回の渡航ではSECMOLの在校生、スタッフ、卒業生にインタビューを行ったが、在校生とスタッフについては全体の1/3程度、卒業生については5人程度に留まってしまった。こちらについても、渡航初期から計画的にアポ取り等を行っていくべきだった。
今回の渡航では、主に在校生に焦点を当てて調査したが、創立者や卒業生についてより深く調査することで、SECMOLがラダックの教育環境に及ぼした影響をより多層的に明らかにできると考える。
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