人間活動のグローバル化に伴う生物種の世界的な移動はもはや日常化している今日、外来生物の移入や生態、利用状況を科学的に捉え、真に必要で有効な環境保全あるいは保護のありかたを再考することが必要とされている。 家畜化・栽培化された動植物は、世界各地の生息地のほとんどにおいて「外来種」である。生物多様性ホットスポットのひとつに数えられるマダガスカルの場合も、3種の主食用作物と3種の主要な商品作物のすべてが外来種である[1][Danthu et al. 2022]。また作物以外の導入種についても、特に政策や経済活動の中心にある種を「外来種」と名指して排除することは難しい[2]。また在来の自然環境の保全を試みるさい、徹底的な外来種の排除が必ずしも効果的な手段とは言えない場合がある[Wallach et al. 2020]。このように近年では環境保全の文脈で外来種の扱いをめぐる議論が盛り上がり、従来の環境保全の在り方を問い直し、真に必要な環境保全を実現することが求められている。
Danthu P, et al. 2022. Coming from elsewhere: the preponderance of introduced plant species in agroforestry system on the ast coast of Madagascar. Agroforestry Syst 96:697-716. Wallach AD, et al. 2020. When all life counts in conservation. Conservation Biology 34:997-1007. Madagascar National Parks. 2017. PLAN D’AMÉNAGEMENT ET DE GESTION Plan quinquennal de mise en œuvre 2017-2021. Ministère de l’Environnement, de l’Ecologie et des Forêts.