島根県津和野町のカワラケツメイ茶の生産や歴史から読み解く茶の文化
対象とする問題の概要 島根県津和野町では、マメ科の草本性植物であるカワラケツメイ(Chamaecrista nomame (Makino) H. Ohashi)を材料とした茶が生産されている。元来カワラケツメイは河原の砂地や道端また森林の…
研究対象地域はインドネシア・スマトラ島東海岸のロカン川河口域であり、同地域は1930年代のオランダ統治時代に、ノルウェーに次ぐ世界第2位の漁獲量を誇るインドネシア最大の漁獲地であった。しかし、1970年代以降、漁獲量は減少し、現在に至るまで続いていない。漁獲量の減少は、ロカン川からの大量の土砂供給が主な原因とされ、現在でも河口域では大規模な環境変化、特に海岸での土砂堆積による陸域の拡大が進行している。この陸域の拡大により、研究対象地域の漁港は数十年で約2km内陸に移動し、大型船が港に接岸できなくなった。この環境変化は漁業に大きな影響を与え、元々漁業に従事していた人々の生業に変化をもたらしたと考えられるが、その詳細は未だ十分に解明されていない。
博士予備論文では、環境変化が地域の生業にどのような影響を与え、地域住民がどのように対応してきたのかを解明することを目的とする。そのため、今回のフィールドワークでは、特に地域住民の生業変化に焦点を当てた調査を実施した。
具体的には、以下の2点に注目した。
①元々漁業を行っていた住民にどのような生業の変化が生じたのか。漁業従事者が環境変化にどのように対応し、新たな生業に移行しているのかを調査した。
➁堆積によって形成された新規陸化地域が、誰によってどのように利用されているのか。この新しい土地がどのように活用されているのか、土地の所有や利用に関する実態を明らかにした。
これらの調査を通じて、環境変化に対する地域住民の適応過程を理解し、漁業から他の生業への転換のメカニズムや、新たな土地利用の特徴を解明することを目指す。
今回の現地調査では、生業の変化を明らかにするため、調査地区における統計データの収集と聞き取り調査を行った。調査地区は、近年堆積が著しい地域であり、20年前は村が海岸に面していたが、現在では堆積によって海岸から約1km内陸に位置する地域である。以下は、今回の調査で明らかになった点である。
①漁業への影響
聞き取り調査により、村が海に面していた頃と現在では漁獲量や獲れる魚の種類に変化が生じていることが明らかになった。堆積により、村から漁場までの距離が遠くなり、燃料代がかさむようになったことや、村から海までをつなぐ川で1日に約5mの潮汐差があるため、漁業活動を行える時間が短縮されたことが原因である。これらの影響により、漁業に従事する人数は減少傾向にある。
②新規陸化地域の利用状況
新規陸化地域の所有権について、役所での聞き取り調査を行った結果、新しい土地は国有であり、利用する際には通常の土地購入のプロセスを通じて取引が行われていることがわかった。しかし、新規陸化地域はマングローブが生育している土地であり、インドネシア国内のマングローブ利用に関する法規に準拠する必要があるにもかかわらず、現実的には急速な堆積による陸化の進行を役所が把握しきれておらず、マングローブ林から他の用途への土地転換が進んでいることが判明した。新規陸化地域の土地利用は、ほとんどがアブラヤシとして利用されており、もともと多くの面積を占めていた水田も、近年アブラヤシへと転換が進んでいることが明らかになった。
③新規陸化地域を利用している人々
新規陸化地域の土地を所有しているのは、主に県都バガンシアピアピに居住する人々であり、調査地区に住んでいる人々や、同じ州内からの移住者が労働者として働いていることが確認された。アブラヤシプランテーションで働いている労働者の中には、元々漁業をしていた人もいるが、その数は少数にとどまっている。
今回の調査により、堆積による環境の変化を要因とした生業の変化について調査地域の漁業活動と土地利用に着目することで今まで明らかにされてこなかったローカルな変化を明らかにすることができた。今後は、聞き取り調査からの結果を役所等で入手した統計情報やリモートセンシングを用いた土地利用変化の解析を行うことで裏付けを行っていきたい。
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