Roles of State, Sub-state, and Non-state agents in Japan–Nepal Relations
Research Background In the context of Nepal–Japan relations, state and non-state actors are involved in developing bila…
ブラック・フェミニズム(黒人女性の要求獲得運動とその理論化)は1980年代第2派フェミニズム後半以降、主にアメリカを中心とした西欧社会において黒人女性達によって確立されてきた。本研究では、彼女達のルーツであるアフリカにおいてフェミニズム運動とはどのようなもので、どのように展開されているのかを調査する。フィールドは、西アフリカで最も民主的とされ、『かくも長き手紙』[マリアマ 1979]や『ニグロの女たちへの言葉』[Thiam 1978][1]などのフェミニズム文学が生み出されたセネガル共和国とする。
[1] 未邦訳のため、書名は拙訳。
本研究の目的は、セネガルにおいて今日フェミニズム運動が誰によってどのように展開されているのかを、参与観察と聞き取りを通して明らかにすることである。よって、首都ダカールに位置する女性支援団体‟Réseau Siggil Jigéen”(レゾー・シギル・ジゲン)において、2024年11月26日から12月20日の計18日間インターン生として参与観察と資料収集を行った。
当該団体は1995年に設立され、セネガル女性の地位向上を目的としてセネガル国内全域において教育・政治・経済・保健など多岐にわたる分野で事業を展開している。2024年12月時点でダカールの事務所では計10人が勤務しており、その他14の地域に職員がいる。
資料収集では、団体パンフレット、基本情報文書、戦略計画、機関誌、年間報告書、プロジェクト毎のTORと報告書、その他団体発行物(啓発冊子など)を収集した。そこから、当該団体の基本情報、歴史、ビジョンとミッション、組織構成、活動内容が読み取れた。具体的には、当該団体は1995年に設立され、セネガル女性の地位向上を目的として、リプロダクティブ・ヘルス、識字率向上と教育、マイクロファイナンス、女性の政治参画等の多岐にわたる分野でプロジェクトを企画していることがわかった。
参与観察では、インターン生として、日常的な勤務と都度開催されるイベントの運営に従事した。参与観察期間中、運営スタッフとして①ジェンダー暴力に対抗する広報キャンペーン(2024年11月27日)②ダカールの地方政治のフェミナイゼーション(女性化)(2024年11月28日)③学校でのジェンダー暴力に反対するプロジェクトの立ち上げ(2024年12月5日)③ジェンダー暴力に関する国家行動計画の策定に向けた市民社会の提言と動員に関する全国ワークショップ(2024年12月13日)と題する計4つのイベントに参加した。例えば、①のイベントでは選挙カーのようなアナウンスカーをダカール内の計3つの地区で走らせながら、メッセージが書かれた帽子、Tシャツ、フライヤーを町中で配布してダカール市民にジェンダーに基づく暴力(Gender Based Violence, GBV)に関する啓発を行っていた。②のイベントでは、ダカール市内の女性地方議員を集めて女性の政治参画の重要性を説いたり、「女性のリーダーシップ」と題する市民参加型の絵画コンクールの受賞者を表象したりしていた。このように、当該団体は様々な方法で市民や地方議員への啓発活動を行っていることが分かった。
今後は収集した資料を精読し、当該団体の理念と実態をより細かく見ていくとともに、他団体との関連やフェミニズム運動の歴史的な流れも明らかにしていきたい。
反省点として、滞在初期にセネガルにおける人間関係・信頼関係の築き方がわからなかったため、相手からの返事が来なかった場合にどのように対応したらよいかわからず、結果として参与観察の開始時期が遅くなってしまったことである。カウンターパートの大学の教員や学生に相談したところ、「WhatsAppの返事がないのは忙しくて忘れているだけなので、直接電話を掛けるべきだ。失礼ではないし遠慮してはいけない」との助言を頂き、参与観察団体の代表に直接電話を掛けたところ、とんとん拍子で受け入れが決まった。今後もこのような悩みがあった場合は一人で抱えたり自己判断を行うのではなく、現地の感覚がわかる人に積極的に助けを求めて解決方法を探っていきたい。
マリアマ, バ. 1979.『かくも長き手紙』中島弘二訳, 講談社
Thiam, A. 1978. La Parole aux négresses. Paris: Éditions Denoël.
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