本研究の目的は、新型コロナウイルスの流行やクーデターによって、ミャンマーの輸出向けの縫製産業はどのように変化したのかを明らかにすることである。 先行研究では、輸出先や労働条件などの変化に着目してミャンマー縫製産業へのコロナ禍とクーデターの影響が分析された[Ngwenya-Tshuma; Min Zar Ni Lin 2022]。しかし、この期間に産業の担い手である企業の参入と退出がどのように生じたかは詳しく分析されていない。縫製産業は後発国の工業化の過程で重要な産業であり、その担い手の変化は、今後のミャンマーの発展のあり方に影響を与えると考えられ、分析する意義が大きい。 先行研究ではミャンマー縫製産業の特徴として、地場企業の存在感の大きさが指摘されてきた[工藤 2006; 水野 2019]。こうした特徴はコロナ禍・クーデターを経てどのように変化したのか、あるいは維持されたのかを最大都市ヤンゴンでフィールドワークを実施し、聞き取りや収集した資料の分析から検討する。
Fukunishi, Takahiro & Yamagata, Tatsufumi, eds. 2014. The Garment Industry in Low-Income Countries: An Entry Point of Industrialization. Basingstoke: Palgrave Macmillan. 工藤年博. 2006.「ミャンマー縫製産業の発展と停滞―市場、担い手、制度―」天川直子編『後発ASEAN諸国の工業化: CLMV諸国の経験と展望』アジア経済研究所, pp. 101–139. 水野敦子. 2019.「ミャンマー縫製業の労働集約的構造に関する一考察: 2010 年代の輸出動向の分析を通じて」『関西大学経済論集』68(4):189–206. Ngwenya-Tshuma, Samu & Min Zar Ni Lin. 2022. The impact of the Double Crisis on the Garment Sector in Myanmar. In G. Gabusi & R. Neironi, eds., MYANMAR AFTER THE COUP. Torino: TWAI, pp. 140–156.