ウガンダ都市部におけるインフォーマリティに関する研究/バイクタクシー運転手を事例として
対象とする問題の概要 ILOは、発展途上国における都市雑業層をインフォーマル・セクター(以下、ISと略記)と定義し、工業化が進めばフォーマル・セクター(以下、FSと略記)が拡大して、ISは解消すると予測した(ILO, 1972)。しかし、…
高知県安芸郡安田町では毎年6月から翌年12月にかけて、毎週日曜日に闘鶏大会(以下:大会)が開催されている。同地域では明治時代から現在に至るまで愛好家によって軍鶏の飼養が盛んに行われている。闘鶏は地域おこしの一環として行政の支援の下で行われており、毎年多くの観光客を呼び寄せている。
本調査では中芸軍鶏組合の組合長である西岡氏に対話形式による半構造化インタビューを行った。その結果、安田町の大会のルール上の特質と大会を継続的に開催するための金銭面の仕組み、同地域の闘鶏文化が直面している課題について明らかにすることが出来た。
今回の調査で、安田町の闘鶏文化は後継者不足の課題を抱えていることが分かった。今後は同地域の闘鶏に携わる人々がどのようにして文化を継承する新たな担い手を生み出していくのかを明らかにしたい。
古来より人間は動物同士を戦わせるブラッド・スポーツを賭博や占いなどの目的で行ってきた。しかし、世界的に動物愛護の精神が広く認められるようになったため、ブラッド・スポーツに対するまなざしは批判的なものへと変容していった。日本においては動物愛護管理法で動物虐待などを取り締まっており、北海道、東京都、神奈川県、石川県、福井県ではブラッド・スポーツを条例で禁止している。このような世界的な傾向とは反対に、安田町では行政の支援のもと闘鶏大会が開催されている。
本研究では、現存するブラッド・スポーツの数少ない一例として安田町の闘鶏を取り上げる。中芸軍鶏組合の組合長である西岡氏に聞き取り調査を行い、同地域の闘鶏文化がどのようにして維持されているのか、また同文化が抱えている課題を明らかにする。
今回、高知県安田町で行った闘鶏に関する調査から得られた知見の中で、特筆すべき点は大きく分けて3つある。
1つ目は、安田町の大会のルールについてである。同地域の大会では試合後に計算される点数の合計でその年の優勝軍鶏を決定する。単に勝ち負けで点数を決めるのではなく、どのようにして勝ったかで点数を決める。例えば、相手の軍鶏を死なせた場合は10点、相手の軍鶏が鳴いた、または逃げた場合は8点、などである。試合に負けた軍鶏はその場で失格となり、再び大会に参加することは出来ない。勝つか負けるかという単純な構造ではなく、どのように勝ったのかを点数に影響させることによって試合結果の予測不可能性の幅をさらに広げ、面白さを生成していると考えられる。
2つ目は、大会を持続させるための金銭面の仕組みについてである。大会参加者は「入籍料」を軍鶏1羽につき1500円、試合を行う際に「場所料」として300~2000円を支払う。大会で集まった入籍料と場所料の合計が賞金となり、受け取った者はその金を軍鶏の飼育費に充てることが出来る。受け取れなかった者でも、試合に負けた軍鶏を軍鶏肉として料亭などに1羽につき10000~30000円で売却することで軍鶏の飼育費を稼ぐことが出来る。大会参加の際の集金、また地域の料亭などとの関わりが安田町の大会の継続を可能にしているということが明らかになった。
3つ目は、安田町の闘鶏文化が直面している2つの課題についてである。まず、動物倫理の観点から批判的な目で見られるという点だ。安田町では闘鶏を昔からある文化として公式HPでも宣伝をしている。しかし、闘鶏を全国的に広めようとすればするほど批判的な声が寄せられるという状態に悩まされている。次に、後継者不足の問題だ。若者が都市へ流出するため、若い世代の担い手が見つからない。また、軍鶏の飼育管理に技術が必要なため、これも若者が闘鶏に携わらない要因のひとつになっている。
本調査では安田町の大会の特質、大会を継続して開催するための金銭面の仕組み、闘鶏文化が抱える課題について知見が得られた。特に、後継者不足の問題が安田町の人々を悩ませているということが分かった。
今後はこれらの知見を参照しながら、安田町の闘鶏に関わる人々がどのようにして後継者を生み出していくのか、もしくはどのようにすれば後継者を生み出せるのかについて調査を行いたい。
岡本新.2001.『ニワトリの動物学』東京大学出版会.
佐藤優.2011.「地鶏の起源と定義」鶏病研究会報47:1-11.
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