林業は、施業・管理の効率性を優先して単一樹の林であることが世界的にも一般的であり、混交林を創造する試みはこれまでほとんど行われてこなかった[Liu et al. 2018]。したがって、タンザニアで、この混交林林業モデルを創造するにあたり、どのような課題があるのか、周辺生態系や地域社会にどのような影響があるのか、不明である。そこで、本調査では、実際に経済的価値の高い早生樹と在来樹種のモデル林をつくるための植林実験を行い、この試みによって顕在化する課題や、地域社会・生態系への影響を明らかにすることを目的とした。 調査者は、タンザニアのソングウェ州M村に、2022年8月~2023年2月の約7か月間滞在し、村人と協力しながら、早生樹と在来樹種の混植実験を行った。加えて、村人の森林利用の実態や、在来樹種の利用方法(木材、食用、薬など)、土地利用の状況、周辺の生態系などについて調査を行った。
安洋巳. 1999.「慣習的土地利用からみた植林成立の条件-タンザニア半乾燥集村地域の事例-」『林業経済研究』 25(2):55-60. Liu C.L.C., Oleksandra Kuchma, Konstantin V. Krutovsky.,2018.「Mixed-species versus monocultures in plantation forestry: Development, benefits, ecosystem services and perspectives for the future.」『 Global ecology and Conservation』15: 1-13.