本研究では、首都・ヴィエンチャン特別市にあるアジアの障害者活動を支援する会のオフィスと団体運営カフェ、ラオス障害者女性開発センター、Cooperative Orthotic and Prosthetic Enterprise(COPE Laos)、UXO Lao National Officeへ訪問・見学、聞き取りを行った。また、シェンクワン県のポーンサワン郡にあるラオス障害者協会・シェンクワン支部の職員、同県にある視覚障害者のモン族が経営するマッサージ店へも同様に聞き取りを行った。 この聞き取りの中で、各々の障害の種別や障害をもった時期、出身地、支援に辿り着いた経緯やそれまでの生活等について情報を得ることができた。その中で次の知見を得られた。第一に、ラオスの障害者は同居者家族によってケアをされていることだ。本研究の調査対象の障害者は、全員が何らかの支援に辿り着いている人たちである。しかし、支援にアクセスできた場合でも障害者自身がひとりで独立して生活するわけではなく、支援団体での雇用や英語・手話、ITスキル、マッサージといった学習サポートの支援を受けながらそれら支援を基に収入を獲得しつつ、同居者家族らと共に生活をし、身の回りの世話や移動の補助など家族からのケアを受けている。第二に、ラオス社会に生きる障害者が抱えている生きづらさは、個人の属性、例えば、障害の種別や重度、民族、性別、家族構成や家庭環境、出身地などによって異なり、多岐に渡っていたことだ。これらは、ラオスに限らず他地域でも見受けられる結果であるが、ラオス社会の特徴が見えやすい個人の属性として、女性身体障害者が挙げられる。彼女らは、女性は男性に従順で家庭内の仕事は女性が担うべきだとする性別分業役割が明確なラオス社会のジェンダー規範の中で、障害者である故にそれらを担えないため婚姻等で課題を抱えていた。今回は、対象を身体障害者と大きく設定して調査を行ったが、今後は女性身体障害者に着目し彼女らの視点からラオス社会を捉え、障害者の現状・実態をより明確にしたい。