京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

フィールドワーク・レポート/東南アジア

金融互助実践とコミュニティに関する研究――ジョグジャカルタのアリサンを事例に――

対象とする問題の概要  アリサン(arisan)とはインドネシアの人々が日常的に行うインフォーマルな金融互助実践のことあり、世界各地で共通してみられるROSCA(回転型貯蓄信用講)の一種として知られている。近隣住民や家族・親族、同業者などが…

人々と樹木の関係性――タイにおける伝統的木造建築文化――

対象とする問題の概要  近代以前のタイは、人口に比して豊富な森林資源に恵まれていた地域であり、豊かな木造建築の文化が育まれてきた。寺院建築や華僑の建築には煉瓦も多用されるが、タイ族の伝統的な住まいは木造の高床住居である。またタイは精霊信仰の…

インドネシア・ロカン川河口域における地形変化による生業変化

対象とする問題の概要  研究対象地域はインドネシア・スマトラ島東海岸のロカン川河口域であり、同地域は1930年代のオランダ統治時代に、ノルウェーに次ぐ世界第2位の漁獲量を誇るインドネシア最大の漁獲地であった。しかし、1970年代以降、漁獲量…

現代マレーシアにおけるタカーフル(イスラーム型保険)の生成と展開

対象とする問題の概要  私が研究対象とする「タカーフル」とは、端的に言えば「イスラームの教義に則った相互扶助の仕組み」である。私たちが一般的に思い浮かべる生命保険や損害保険といった商品に近いが、ムスリム(イスラーム教徒)が利用できるように工…

南北分断期のベトナム共和国の仏教諸団体に関する研究

対象とする問題の概要  本研究では、植民地支配・独立・戦争・分断・統一という20世紀の社会変動とそれに伴うナショナリズムの高揚のなかで、各仏教諸団体がそれぞれの宗派(大乗・上座部)・エスニシティ(ベト人・クメール人)・地域(北部・中部・南部…

野生動物の狩猟と地域の食文化に関する研究――ラオス北東部におけるツバメの狩猟活動について――

対象とする問題の概要  経済発展の著しいラオスでは、市場経済化の中心は外国企業・外国資本である一方、副業として行われる自然資源の採集活動は農村部の貴重な現金収入源となっている。ラオス北東部シェンクワン県で活発に行われるツバメの狩猟は、地域固…

地方都市に生きる人々――ジョグジャカルタ都市部における「つながり」の現在――

対象とする問題の概要  伝統的な自然経済から工業化、産業化の高度発展のもとグローバル化が急速に進んだ今日、コミュニティそのものの在り方も大きく変動してきた[山田2020]。一方、都市部でありながら依然として村落共同体的な性格が色濃く残る場所…