京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

フィールドワーク・レポート

フィールドワーク・レポート

フィールドワーク・レポートは、附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センターが実施している「エクスプロ―ラー・プログラム」の成果です。大学院生は、このプログラムの下で、それぞれの研究対象地域において臨地研究(フィールドワーク)に従事して、地域で起きている新たな事象をみずから発見し、それを探求することによって、研究として深化させてきました。そういった知見の第一報がフィールドワーク・レポートであり、現場で得られた新鮮な感覚にあふれています。

現代インドネシアにおける穏健イスラーム――スーフィズム・タリーカに着目して――

対象とする問題の概要  近年、イスラーム過激派と呼ばれる勢力が台頭する中で、各国において穏健なイスラームの在り方が模索されている。インドネシアでは2019年に公認宗教及びその他ローカルな信仰を対象とした宗教的穏健化政策(Moderasi B…

ケニアにおける自動車整備士の労働観に関する研究――kazi nzurikujikazaに注目して――

対象とする問題の概要  恒久的な作業場を持たない木材・金属加工職人や自動車修理工などの「屋外で額に汗して働く職人たち」は、ケニアではジュア・カリ(スワヒリ語で「刺すような陽射し」)と称されている [上田 1998: 19-20]。ジュア・カ…

都市周縁部への居住背景について―ザンビア・ルサカのチャワマコンパウンドの事例―

対象とする問題の概要  ザンビアの首都ルサカにおける人口は2024年8月現在で約332万人と報告されている。その内、約7割の人々がルサカ都市圏の未計画居住区(以降、コンパウンド)で生活をしている。現在、コンパウンドでは、インフラの未整備やコ…

エチオピア西南部地方都市における椅子と女性の身体動作

対象とする問題の概要  エチオピア西南部の高地に住むアリの人びとは、バルチマと呼ばれる木製の3本足の椅子を日々の生活で利用している。調査対象にしたジンカ市T地区に生活するアリの人びとも、バルチマやプラスチック製椅子、アドミチャルと呼ばれる木…

人間活動がモウコガゼル(Procapra gutturosa)の行動に及ぼす影響の評価

対象とする問題の概要  陸上哺乳類の長距離移動は、人間活動により世界的に減少傾向にある [Tucker et al. 2018]。移動の縮小は生態系機能の低下を招く恐れがある。モンゴルに生息する長距離移動性の草食獣モウコガゼル(以下、ガゼル…

ジブチ共和国における嗜好品カートの流通と販売に関する研究

対象とする問題の概要  東アフリカおよびイエメン地域ではカート(Catha edulis)というニシキギ科の植物が嗜好品として消費されている。カートについての研究はエチオピア、イエメンといった生産地を含む地域内での利用実態を対象としたものが…

ガーナ東部ボルタ州における手織り布「ケンテ」産業――布の広域な流通を支える織り手の生業実践――

対象とする問題の概要  本研究では、ガーナにおいて小規模な家内制工業体制で生産される手工芸品が、国内にとどまらず国外でも広く流通しているという事例に着目し、零細な生産体制にも関わらず、広域にわたって布製品が流通している仕組みを解明することを…

ネパールにおける高カースト・ヒンドゥーと先住民族の対立について ――「牛」を事例に――

対象とする問題の概要  ネパールでは 1990 年の民主化まで、王制、ネパール語、そしてヒンドゥー教を 3 本柱とした国民統合政策が実施されていた。そのため、非ヒンドゥー教徒などは自らの文化・宗教実践が認められず、様々なヒンドゥー儀礼の実践…