現代パキスタン都市部におけるパルダ実践の様相/女性たちの語りに着目して
対象とする問題の概要 本研究においては、現代パキスタン都市部におけるムスリム女性のヴェール着用に関して、彼女たちの語りを分析する。パキスタンにおいて、女性のヴェール着用はパルダ(Purdah) という概念に結び付けられて論じられる。パルダ…

本研究は、ワクフ制度と呼ばれるイスラーム世界独自の財産寄進制度に焦点を当て、その再興が見られるマレーシアに着目し、その実態の解明を目指す。
ワクフは、イスラーム独自の財産寄進制度であり、長きにわたりイスラーム世界の社会インフラを担ってきた。しかし近代以降、西欧諸国のイスラーム世界への進出の伸展に伴い、ワクフ制度は形骸化してしまった。
2000年代に入ると、ワクフ制度を再活性化する動きが生まれてきた。単に伝統的なワクフ制度を再活性化させるのみならず、新技術をワクフ制度と組み合わせ、更なる制度の発展を目指す動きが盛んになってきている。マレーシアでは、政府が率先して、ワクフ制度を再興しまた発展させるために様々な施策を実施してきた。本研究では、同国のワクフ制度について多角的に分析することで、ワクフ制度の再興の理由を探求するとともに、イスラーム世界の相互扶助網についても明らかにすることを目指す。
本研究の目的は、イスラーム世界における相互扶助、とりわけワクフ制度の現代的実践を明らかにすることである。その対象として、近年再興が進むマレーシアを取り上げる。
マレーシアではフィンテックやサイバー空間を活用した新しいワクフ運用が模索され、従来と異なる試みが注目を集めてきた。本調査では、ワクフとクラウドファンディングを掛け合わせた独自のプラットフォームを有するグローバル・サダカ(Global Sadaqah)のを運営するEthis Group CEOのUmar Munshi氏にインタビューを行った。また、現地で著名なワクフを推進する非政府組織(NGO)であるiWAQF代表のMohd Ghazali Md. Noor氏にもインタビューを実施し、ワクフ再興の経緯を聞き取った。さらには、関連文献収集やモスクやクルアーン印刷所等のワクフ関連施設、研究機関への訪問を通じてマレーシアにおけるワクフの現状を考察した。

グローバル・サダカのワクフ案件について、同社の運営元企業Ethis groupのCEOを務めるUmar氏に聞き取りを行った結果、まず運営面についての知見を得た。設立から間もない2018年頃には、同社は大手金融機関と直接連携し複数のパイロットプログラムを実施していたが、次第にNGO等や地域団体との協働に軸足を移し、彼らが自ら大口資金提供者と連携できるよう側面支援する方式へ方針を転換したことが判明した。このような方法により、柔軟かつ継続的に案件を進められるようになったという。
次に、Umar氏は、世界には十分な資金や物資があるにもかかわらず、それらが支援を必要とする人々に適切に届かず効率的に活用されていないことを指摘した。同氏は、資金調達は非常に得意でも、インパクトを与えるのがあまり得意ではないNGOの例を挙げ、グローバル・サダカは、そのような組織と協働して資金の活用効果を高め、より大きな社会的成果を生み出す狙いがあると説明した。
さらに、ワクフプロジェクトの収益源について尋ねたところ、現金ワクフを用いてガス処理施設を整備し、その販売収益を慈善に充てる事例が示された。一方で、井戸のワクフ案件について、Umar氏は収益を生まず、水の無償提供自体を社会的価値として位置づけており、同社ではこのような資産提供もワクフの一形態として扱っていることが確認された。
これらの聞き取りから、グローバル・サダカは透明性を確保しつつ、多様な形態で公共の利益の実現のために各パートナー組織と協業していることが明確になった。
さらに、本調査では、ワクフ制度の再興に関して、首相による政策の推進が一定の効果をもたらしていたことがワクフNGOの代表のMohd Ghazali氏への聞き取りから明らかになった。同氏の発言により、こうしたトップレベルのワクフ政策の主導が、実務レベルの取り組みや各分野への導入を後押しする契機となってきたという重要な事実が判明した。
本調査では、主にマレーシアのイスラーム型フィンテック企業であるグローバル・サダカに焦点を当てインタビュー調査を行った他、現地のワクフNGOの代表への聞き取りや文献収集、研究機関及びワクフ関連施設の訪問等を行った。
反省点としては、対象者不在や日程変更により面談調整が難航し、当初計画したスケジュール通りには進まなかった点が挙げられる。しかし、紹介や別経路を活用することで主要関係者にアクセスでき、必要な知見を収集することができた。今後は得られた情報を整理し、予備論文の執筆を進めていく。
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