京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
フィールドワーク・レポート

エチオピアおける新たな舞踊文化の創造/舞踊表現と舞踊集団に関する調査研究を通して

国立劇場舞踊団の練習風景(2017年8月11日撮影)

対象とする問題の概要

 本研究の調査対象はエチオピアの舞踊である。エチオピアは国内に80以上の民族集団が存在する多民族国家であり、それぞれの民族や地域において、多種多様な舞踊が継承されてきた。エチオピアの舞踊は結婚式など、コミュニティにおける冠婚葬祭のさまざまな場面で重要な役割を果たすと同時に、娯楽やコミュニケーションなどにおいても重要な意味をもっている。
 舞踊はコミュニティにおいて継承され、その成員によって担われてきた。しかし今日では、職業として舞踊を演じる人びとがいる。エチオピアの場合、国策として国立劇場が設置されており、そこに所属する舞踊団が存在するという特色がある。また、レストランやホテルでは観光客を相手に舞踊を演じる人びとが現れており、舞踊は観光業や外食産業とも関わりをもつようになっている。

研究目的

 本研究の目的は、エチオピアの舞踊に関する調査をつうじて、新たな舞踊文化が創造される過程を明らかにすることである。調査では、舞踊表現と舞踊集団の関係に着目し、新たな表現が創造される過程について考察する。
 調査対象とするのは首都アディスアベバの国立劇場を活動拠点とする国立劇場舞踊団と、レストランやホテルなどで上演をおこなっている民間の舞踊団である。今回の調査では、各舞踊団における練習、組織運営、演目の作成過程について、参与観察、聞き取り調査、映像記録などをおこなった。

レストランでの舞踊の上演(2017年8月29日撮影)

フィールドワークから得られた知見について

 国立劇場では、おもに舞踊団での練習と新演目の導入過程について調査した。エチオピアには独自の暦が存在する。西暦9月11日に迎えた新年公演では、新演目としてシダマ地方の舞踊が導入された。国立劇場では、調査部門が毎年いくつかの地域を対象として舞踊、音楽、社会について調査している。この調査資料をもとに、ジェネラル・ディレクターらの協議によって新演目の導入が決定され、舞踊家たちは練習を始める。シダマ地方の舞踊の練習では、舞台上での立ち位置の決定と動作のタイミングを合わせることが重要視されていた。その理由として、舞踊家たちは入団以前の段階でシダマの舞踊に関する知識と技術を習得済みであるため、あらたにシダマの技術を習得する必要がないからである。そのため新年公演にむけた練習では、関係者で共有されている知識にもとづいた群舞をおこなうことがもっとも重要な目標となる。その一方で、舞踊家が個々の感性で舞踊をアレンジすることは批判の対象となる。
 民間の舞踊団として、今回の調査では観光客などを対象にエチオピア各地に伝わる舞踊を披露するレストラン2軒を選んだ。調査では上演される演目についての聞き取り調査と、上演の様子の観察をおこなった。演目については、事前に観客から伝えられた情報をもとに柔軟に組み替えられる。また、観客から良好な反応を得ることが重要視されており、そのために各地に伝わる舞踊をそのまま演じるのではなく、舞踊家たちが自由に舞踊をアレンジしていることがわかった。

反省と今後の展開

 国立劇場では、新年公演での新演目の導入過程を中心に調査ができた。しかし、新年公演は年に1度おこなわれる特別な公演である。今回の調査では、定期公演や政府関連行事での上演などを対象とした調査をおこなえていない。今後は国立劇場舞踊団による公演全般について調査を進めたい。また、レストランやホテルなどでおこなわれる舞踊の調査では、許可を得るのに時間を要したため、詳細な調査は次回以降の渡航時に持ち越しとなった。

  • レポート:相原進(平成29年入学)
  • 派遣先国:エチオピア
  • キーワード:舞踊表現、舞踊集団

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