京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

フィールドワーク・レポート/アフリカ

ナミビアにおける女性のライフコースの変遷――ジェンダー平等実現への取り組みに着目して――

対象とする問題の概要  本研究は、ナミビアにおける女性のライフコース[1]の変遷を、同国が実施しているジェンダー平等実現に向けた取り組みに着目して明らかにするものである。1990年に独立したナミビアでは、憲法第10条で性別によるあらゆる差別…

ケニアにおける博物館事業の展開とその矛盾――国民性と民族性のはざまで――

対象とする問題の概要  ケニア史を彩る国民的英雄たちについて展示する国立博物館が、ケニア共和国ナイロビ県ランガタ地区ウフルガーデンにおいて竣工し、展示場の一般公開を間近に控えている。関係者が「ヒロイズム・ミュージアム」と呼ぶ当館は、ケニア国…

植民地ケニアにおけるオーストラリア人女性宣教師

対象とする問題の概要  キリスト教は成立の初めから、「宣教的宗教」として[戸田2016]、普遍的な「神の言葉」である聖書を、言語や文化、民族の境界を越えて伝えるよう求めてきた。特に19世紀以降、宣教師が世界のあらゆる場所へ赴くようになったこ…

ナミビア・ヒンバ社会における「伝統的」及び「近代的」装いの実態

対象とする問題の概要  本研究は、ナミビア北西部クネネ州(旧カオコランド)に居住するヒンバ社会の「伝統的」及び「近代的」装いを記述するものである。ヒンバはナミビアの代表的な民族である。腰に羊の皮や布のエプロンをつけ、手足、首、頭などに様々な…

「自然-社会的なもの」としての水の利用・分配に関する研究――東アフリカ乾燥地の町における事例をもとに――

対象とする問題の概要  東アフリカの乾燥・半乾燥地域に分布する牧畜社会を対象にした民族誌的研究では、「水」は不足しがちな天然資源として捉えられてきた。そして、水不足の問題が人道的・倫理的な介入の対象となってきた。それゆえ、この地域を対象にし…

熱帯地域の屋敷林内に生育する外来有用樹としてのマンゴー――マダガスカル北西部アンカラファンツィカ国立公園での調査報告――

対象とする問題の概要  自然保護・環境保全活動の使命のひとつは、固有種や在来生態系の保護である。そして外来種の移入は、在来生態系の脅威として問題視されている[鷲谷 2007]。保護区域によってカバーされる領域は地球上の自然環境を構成する非常…

ケニア共和国におけるヒロイズム・ミュージアム開設事業の現状と背景――国民的英雄はいかにしてつくられるのか――

対象とする問題の概要  ナイロビ県ランガタ地区に位置するウフルガーデン(独立記念公園)で、新たな博物館の開設事業が進みつつある。この博物館の正式名称は定まっていないが、事業関係者によってしばしば用いられる「ヒロイズム・ミュージアム」という呼…

ケニアの都市零細商人による場所性の構築過程に関する人類学的研究――簡易食堂を事例に――

対象とする問題の概要  ケニアでは2020年に都市人口の成長率が4%を超えた。膨張するナイロビの人口の食料供給を賄うのは、その大半が路上で食品の販売を行う行商人などのインフォーマルな零細業者である。その中でも、簡易な小屋のなかで営業されるキ…

20世紀前半のケニアにおけるキリスト教宣教団による聖書翻訳

対象とする問題の概要  20世紀前半のケニアにおけるキリスト教宣教団の活動は教育や医療など非常に多岐に渡った。そのなかでも聖書をケニアに存在する様々なローカル言語へ翻訳する試みは重要な活動の1つであったと考えられる。マタイによる福音書に「そ…

キャッサバ利用の変化と嗜好性からみるタンザニアの食の動態

対象とする問題の概要  キャッサバは中南米原産の根菜作物であり、現在世界中でさまざまに加工・調理され食べられている。タンザニアでもキャッサバはトウモロコシやコメとならんで最も重要な主食食材の1つである。キャッサバを主食としていない地域でも、…