京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

フィールドワーク・レポート/アフリカ地域研究専攻

高齢者の暮らしに埋め込まれた農業と景観の再生産の関係に関する人類学的研究

対象とする問題の概要  徳島県三好市旧東祖谷山村は中央構造線の南側に位置する日本有数の地すべり地帯であり、大規模な山腹崩壊後の斜面に集落が形成された。近世以降は傾斜地での常畑耕作による葉たばこ・茶・養蚕等の換金作物生産がなされていた。とくに…

エチオピアにおける音楽実践と生活世界にかんする地域研究

対象とする問題の概要  エチオピア西南部の高地に暮らすアリの人びとは、地域内で自生・栽培されているタケをもちいて気鳴楽器を製作し、共同労働や冠婚葬祭においてそれらを演奏している。近代学校教育やプロテスタントの浸透によって、慣習的な共同労働や…

セントラル・カラハリ・サンの子ども社会への近代教育の影響――ノンフォーマル教育の事例から――

対象とする問題の概要  1977年より、ボツワナ政府は、民主主義、発展、自立、統一を教育理念に掲げてきた。1970年代中頃まで狩猟採集を生活の基盤としていたサンの社会は、政府の定住化政策によって、管理、教育、訓練の対象となってきた。こうした…

人間活動に関わる外来生物種の移入状況―マダガスカル共和国・アンカラファンツィカ国立公園の事例―

対象とする問題の概要  人間活動のグローバル化に伴う生物種の世界的な移動はもはや日常化している今日、外来生物の移入や生態、利用状況を科学的に捉え、真に必要で有効な環境保全あるいは保護のありかたを再考することが必要とされている。 家畜化・栽培…

ニジェールにおけるクルアーン学校の制度とイスラームを学ぶ子どもたち――ニアメ市のマカランタX校を事例に――

対象とする問題の概要  ニジェール共和国では95%以上の国民がムスリムであるため、人々はクルアーンを暗唱して、イスラームの知識を修得し、イスラームの知識にのっとった生活をすることで安定した社会を構築しようとしている。長らく、クルアーン学校に…

カメルーン都市部のウシをめぐる生業活動――北部都市ンガウンデレにおけるウシ市と食肉流通に着目して――

対象とする問題の概要  カメルーン北部の都市ンガウンデレでは、毎日のようにウシにでくわす[1]。街中に都市放牧されているウシの群れもよく観察されるし、これらの産物や製品にも毎日であう。 カメルーン北部の都市ンガウンデレは国内のおよそ4割の食…

ケニアにおける国民統合を求めて――SAFINAとPaul Muiteの歩みとその思想――

対象とする問題の概要  ケニアにおいて従来は流動的であった各民族集団への帰属は、イギリスによる「分割統治」を基本とする植民地支配と独立後の特定民族の優遇政策、特に不平等な土地分配を経て、固定性と排他性を帯びるようになった。こうした状況におい…

ウガンダにおける人口増加に伴う都市空間の形成と土地利用の変容

対象とする問題の概要  サハラ以南アフリカは現在、世界で人口が最も増加している地域である。アフリカの都市部では、農村から都市への人口移動によって爆発的に人口が増加し、その人口増加に対応した居住環境や交通、教育、衛生など多くのインフラ整備が課…

ベナン国ジュグー市におけるNGOによるごみ収集の実態と課題――家庭におけるごみ収集の利用から――

対象とする問題の概要  サハラ以南アフリカ諸国の都市部では、ごみ収集が十分に確立されておらず、低所得者層は劣悪な居住環境で生活している。地方自治体には税収が少ないため、NGOが行政を補完する重要なアクターとなっているものの、NGOによるごみ…

ガーナのワックスプリントを用いた文化の政治に関する研究――ナショナル・フライデー・ウェア・プログラムに着目して――

対象とする問題の概要  ワックスプリントとは、工場でバティック染めを模して作られ、サハラ以南アフリカ各地において衣服の仕立て等に使用されている色鮮やかな布のことである。このワックスプリントは、アフリカ地域で内発的に生まれた布ではなく、近代以…