京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

フィールドワーク・レポート

フィールドワーク・レポート

フィールドワーク・レポートは、附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センターが実施している「エクスプロ―ラー・プログラム」の成果です。大学院生は、このプログラムの下で、それぞれの研究対象地域において臨地研究(フィールドワーク)に従事して、地域で起きている新たな事象をみずから発見し、それを探求することによって、研究として深化させてきました。そういった知見の第一報がフィールドワーク・レポートであり、現場で得られた新鮮な感覚にあふれています。

インドネシアの伝統的薬草療法ジャムウが地域社会で果たす役割について/健康増進・疾病予防・女性のライフイベントサポートの観点から

対象とする問題の概要  近年インドネシアは、急速な経済発展と生活様式の変化に伴い、生活習慣病や高齢化による慢性疾患が増加している。これらの疾患は、西洋医学だけで即座に根治しないため、先進国では、補完・代替療法(マッサージ・薬草等)を導入する…

タイにおける軍隊の政治関与

対象とする問題の概要   東南アジアでは、軍隊による安全保障の役割以上の政治への関与が指摘されてきた。国際社会では冷戦後の民主化の波と共に、軍隊による政治関与は減少すると見通されていた。しかしながら東南アジアでは、過去から現在まで…

小規模農家の集団的エンパワーメント/ケニアにおける契約農業の事例から

対象とする問題の概要   ケニアでは、国民の7割が農業に従事している。一方で、農業に適した土地は全国土の2割程度に限られている。近年の人口増加に鑑みると、より多くの人々が小規模な農業適地で農業を行ないつつあると言える。また、ケニア…

ミャンマー・シャン州南部の農業システムにおけるヤマチャ利用

対象とする問題の概要  東南アジア大陸部山地では急激な森林減少が観測されており、原因の一つとして農地の拡大が指摘されている。ゴム等の大規模プランテーションや換金作物の集約的栽培は、森林破壊だけでなく、不安定な価格に伴う経済的リスクの増大等、…

タンザニアにおける籾殻コンロの開発と普及に向けた実践的研究

対象とする問題の概要  タンザニアでは、都市人口の増加にともなってエネルギー需要が増大し、森林資源の減少が調理用燃料の慢性的な不足を招いている。その一方で、稲作の拡大によって大量の籾殻が産業廃棄物として投棄されるようになっている。この問題に…

タンザニアにおけるプリント布のサプライ・チェーンに関する研究/製造・小売間の連関

対象とする問題の概要  本研究では、タンザニアで生産されるプリント布についての調査をおこなう。タンザニアを含む東アフリカでは、カンガやキテンゲと呼ばれるプリント布が、衣服としての用途の他にも、使用の場面や目的に応じ、形を変えて使用することが…

ナミビア南部貧困地域における非就業者の扱われ方についての人類学的研究

対象とする問題の概要  ナミビア南部に主にナマ語を話す人々が生活する地域 がある [1] 。この地域は非就業率と貧困率が高く、多くの非就業者は収入のある者や年金受給者と共に生活し、その支援を受けている。1990年代初めに地域内の一村で調査を…

観光によって促進される地域文化資源の再構築と変容/バンカ・ブリトゥン州の事例から

対象とする問題の概要  私は現在、インドネシアのバンカ・ブリトゥン州に着目し、観光産業が現地の地域文化資源の再構築と変容に果たす役割を研究している。同州は18世紀以降世界的な錫産地であったが、近年は枯渇してきており、錫に代わる新たな産業のニ…