ある世帯を対象に実施した食事日記および聞き取り調査の結果からは、収穫したオオムギ、コムギ、ライコムギを製粉せずに、粒食していることがわかった。オオムギやライコムギは炒り麦として消費され、コムギは炒り麦と粒がゆとして消費されていた。 調査地域において、改良品種のオオムギやコムギの栽培は20年ほど前から始まっていることが聞き取り調査により明らかになった。ライコムギには現在栽培されている2品種(カルンツォ、ブルソ)と栽培が確認できなかった1品種(カリツァ)があり、カルンツォ、カリツァ、ブルソの順で導入されたことが確認できた。カルンツォは改良品種のオオムギやコムギよりも以前から栽培されていることが明らかになった。 耕起は牛耕によってもおこなわれるが、主に鍬を用いて人力によっておこなわれる。人力で耕起する場合は、1人で耕起する場合もあれば、2人で横並びになって息を合わせながら耕起する。畑を分割し、小さな区画を数回に分けて同じ方向に耕す事例が観察された(写真1)。耕起はもっぱら男性がおこなうのに対して、畑にイーサと呼ばれる自家製の有機肥料を運ぶ作業は年齢を問わず女性がおこなっていた。有機肥料は前年度に収穫したオオムギやコムギ、ライコムギの稈を牛の糞に混ぜてつくる。直方体形にまとめられ、背中に担いでいた。その重量は平均19.1 kg (N=5)であった。畑に有機肥料を施す場合は一定の間隔をあけていた(写真2)。
【1】Yazie, C. 2014, Comparative Advantage Study of Major Crops: A Case Study in Triticale Growing Areas of Farta and Lai-gaint Districts of Amhara Region, Ethiopia”, International Journal of Agriculture and Crop Sciences, 7(1): 35-41.