京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

フィールドワーク・レポート

フィールドワーク・レポート

フィールドワーク・レポートは、附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センターが実施している「エクスプロ―ラー・プログラム」の成果です。大学院生は、このプログラムの下で、それぞれの研究対象地域において臨地研究(フィールドワーク)に従事して、地域で起きている新たな事象をみずから発見し、それを探求することによって、研究として深化させてきました。そういった知見の第一報がフィールドワーク・レポートであり、現場で得られた新鮮な感覚にあふれています。

マダガスカル・アンカラファンツィカ国立公園における保全政策と地域住民の生業活動(2018年度)

対象とする問題の概要  植民地時代にアフリカ各地で設立された自然保護区のコンセプトは、地域住民を排除し、動植物の保護を優先する「要塞型保全」であった。近年、そのような自然保護に対し、地域住民が保全政策に参加する「住民参加型保全」のアプローチ…

ウガンダ都市部におけるインフォーマリティに関する研究/バイクタクシー運転手を事例として

対象とする問題の概要  ILOは、発展途上国における都市雑業層をインフォーマル・セクター(以下、ISと略記)と定義し、工業化が進めばフォーマル・セクター(以下、FSと略記)が拡大して、ISは解消すると予測した(ILO, 1972)。しかし、…

タンザニアの熱帯雨林におけるアグロフォレストリーの動態/アマニ地域における持続的な木材生産に着目して

対象とする問題の概要  タンザニア東北部に位置する東ウサンバラ山の東斜面(以下、アマニ地域)では、豊富な雨を利用して屋敷地がアグロフォレストリーとして利用されている。20世紀初頭、ドイツ植民地政府はアマニ地域に広大な樹木園を開き、世界各地の…

ジョザニ・チュワカ湾国立公園におけるザンジバルアカコロブスと地域住民の共存に関する研究

対象とする問題の概要  タンザニアのインド洋沖に浮かぶザンジバル諸島には、絶滅危惧種であるザンジバルアカコロブス(Procolobus kirkii)が生息し、その保護などを目的として2004年に島中部がジョザニ・チュワカ湾国立公園に指定さ…

現代ブータンにおける農村起業家/過疎化と就職問題の視座から

対象とする問題の概要  ブータンにおいて以前から若者の高い失業率が問題となっている。ブータンでは近代教育が普及し、高等教育を修了する者が増加したのだが、彼らが求めるホワイトカラー職の雇用は依然として不足している。高等教育を受けた上で故郷の村…

ミャンマーにおける農山村地域の生業の変遷

対象とする問題の概要  私はこれまで、ミャンマー・バゴー山地においてダム移転村落に暮らすカレンの人々の焼畑システムの変遷と生業戦略についてフィールドワーク及び論文執筆を行ってきた。ミャンマー国内の情勢は近年大きく変化している。調査対象地の村…

カメルーンのンキ国立公園におけるカメラトラップを用いた 食肉目の占有推定

対象とする問題の概要  食物網の高次消費者である食肉目は、草食動物の個体数調整などの生態学的機能を通じて、生物多様性の高い森林構成維持に関わる生態系内の重要な存在であるが、近年世界各地で食肉目の個体数減少が報告されており、その原因究明と保全…

ミャンマーにおける向都移動/エーヤワディー・デルタからヤンゴン・ラインタヤ地区へ

対象とする問題の概要  向都移動とは農村部から都市部へ向かう人口移動のことである。ヤンゴンでは現在、都市周辺部において工業団地の建設が進んでいる。その中で1番最初に開発され、ミャンマーにおいて最大の工業地区となっているのが、ヤンゴン北西部の…

カメルーン農村におけるキャッサバ生産・加工の商業化に関する研究/住民によるキャッサバ改良品種の受容に注目して

対象とする問題の概要  カメルーン南部州のエボロワの近郊にある調査地では、政府、国際機関、日本の援助機関が森林保全、住民の現金収入の増加を目的にキャッサバ・プロジェクトを実施し、キャッサバの生産・加工の商業化を促進するため、多収で耐病性のあ…