京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

フィールドワーク・レポート/グローバル地域研究専攻

現代イスラーム世界における伝統的相互扶助制度の再興と新展開――マレーシアのワクフ制度に注目して――

対象とする問題の概要  本研究は、ワクフ制度と呼ばれるイスラーム世界独自の財産寄進制度に焦点を当て、その再興が見られるマレーシアに着目し、その実態の解明を目指す。 ワクフは、イスラーム独自の財産寄進制度であり、長きにわたりイスラーム世界の社…

カンボジア首都近郊における養殖漁業――ベトナムとの関り――

対象とする問題の概要  カンボジアは東南アジア最大の淡水湖であるトンレサープ湖を擁し、漁業はカンボジアの生態、社会、文化に密接に結びついている。1990年代の復興を通して、圧縮された近代化を経験しているカンボジアにおいて、漁業もまた急速な近…

イスラーム金融における「不確実性」の法的解釈――イスラーム型金融派生商品に焦点を当てて――

対象とする問題の概要  イスラーム金融では、利子と共に不確実性が禁止されている。しかし、現代の金融の一側面である金融派生商品(デリバティブ)は、リスクテイク・不確実性を伴う。そうしてみると、イスラーム金融における金融派生商品の実践にまつわる…

マレーシアにおけるイスラーム型ソーシャルビジネス――その社会的起業の実態と傾向――

対象とする問題の概要  本研究の対象は、東南アジアで活発化しているイスラーム型ソーシャルビジネスである。特に今年度はマレーシアに注目して研究を進める。マレーシアでは、10年程前から社会的起業への関心が高まっている。2014年には社会的起業を…

東南アジアにおけるイスラーム市場の発展――マレーシアを事例として――

対象とする問題の概要  21世紀以降マレーシアではハラール認証制度の普及やムスリム消費者層の中流化が起こり、イスラーム市場というものが変容している。イスラーム市場というものは、ハラールマークだけでは語ることができないものである。しかし、現在…

現代トルコにおけるスーフィズム理解――スーフィー心理療法に着目して――

対象とする問題の概要  スーフィズムは音楽、詩、舞踊などを通して神や宇宙とのつながりや、神への愛を表現する。そして修行を重ねて魂を浄化し、個我からの解放と神との合一を目指す。このようなスーフィズムの実践を、セラピーとして癒しやストレス解消に…

インドにおけるトイレとケガレ観念に関する研究

対象とする問題の概要  インドでは野外排泄が社会問題となっている。野外排泄が続く要因として、経済的要因、政治的要因、社会的要因など様々な要因が考えられるが、トイレを「ケガレたもの」として忌み、避けるためトイレの使用を拒むことも、野外排泄を行…

イスラーム経済におけるモラリティの理念と実践――マレーシアを事例として――

対象とする問題の概要  イスラーム経済においては、利子や不確実性を回避する金融取引とともに、共同体内での社会福祉の役割が強調されてきた。マレーシアは、21世紀のイスラーム金融をリードするイスラーム金融先進国であるが、イスラームの本来の理念か…

人新世のイスラーム世界におけるムスリムの環境観と環境実践――エコ・モスクを事例に――

対象とする問題の概要  近年、地球環境問題の深刻化を受け、イスラームの教義を取り入れた環境保護活動が活発化している。2億人以上のムスリム人口を持つインドネシアは、環境問題の文脈に即した新しいイスラーム理解を展開している。この新たなイスラーム…