京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

フィールドワーク・レポート

フィールドワーク・レポート

フィールドワーク・レポートは、附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センターが実施している「エクスプロ―ラー・プログラム」の成果です。大学院生は、このプログラムの下で、それぞれの研究対象地域において臨地研究(フィールドワーク)に従事して、地域で起きている新たな事象をみずから発見し、それを探求することによって、研究として深化させてきました。そういった知見の第一報がフィールドワーク・レポートであり、現場で得られた新鮮な感覚にあふれています。

異宗教間結婚問題の現状/ヒンドゥー・ムスリム夫婦への聞き取りから

対象とする問題の概要  インドでは独立以後、ヒンドゥーとムスリムの対立が時として陰惨な暴力的対立に発展してきた。しかし、そのような中で暴力や迫害の対象とされながらも、様々な理由からヒンドゥー・ムスリム間で結婚した夫婦が存在してきた。そもそも…

宗教多元社会における政治的意思決定/レバノンにおける公式・非公式なエリートの離合集散

対象とする問題の概要  筆者は2017年7月4日から7月26日にかけてレバノン政府によるパレスチナ難民政策に関する調査を行うために、レバノン共和国においてフィールド調査を行った。レバノンは第1次大戦後の「中東諸国体制」の形成による地域的状況…

シリア難民の生存基盤と帰属問題の研究(2017年度)

対象とする問題の概要  国民国家制度はこれまで「国民」の生存基盤と帰属問題を保障してきた。しかし、国民国家制度が変容する中で様々な限界が露呈し、数々の難民問題を生み出す一方で、それに対して不十分な対応しかできないでいる。 特にシリア難民問題…

スリランカにおけるインド・タミル人清掃労働者の研究/差別に抗するマイノリティの日常実践

対象とする問題の概要  インド・タミルはスリランカに居住するタミル人のうち、英植民地時代に南インドから移住した特定のカースト集団をルーツにもつ者を指す。そして、その多くが紅茶等のエステート(=プランテーション)労働者であることからエステート…

現代パキスタンにおけるパルダの実践とその意義/パンジャーブ州の事例

対象とする問題の概要  本研究は、現代パキスタンにおけるパルダの実践を、主に女性に対する聞き取り調査や、参与観察を通して明らかにしようというものである。パルダとは、インド、パキスタン、バングラデシュを中心とした南アジア地域に広く存在する性別…

インドネシア中部ジャワ農村地域における共有資源管理/住民による灌漑管理とその変容

対象とする問題の概要  インドネシア政府はこれまで多種多様な農村開発プログラムを実施してきた。特にスハルト政権下では、例えば稲作農業の技術的向上を目的としたビマスプログラムのように、トップダウンによる開発政策がおこなわれてきた。しかし、こう…

ウガンダ北部におけるうなづき症候群患者の日常生活と社会実践

対象とする問題の概要  アフリカにおけるてんかんへの医学的な研究は一定の蓄積があるが、てんかん患者の社会面を記述した文献はほとんどみられない。タンザニアで医師をしていたアール [1] は、タンザニアで彼女が診療した地域のてんかん患者は村人か…

ナミビアにおける牧畜民ナマとその家畜との関係理解

対象とする問題の概要  ナミビアの南部には、「ナマ」という民族名で呼ばれている人々が多く生活している。彼/女らは少なくとも17世紀から現在のナミビア国内の広い範囲で牧畜を生業とする生活を送っていたが、主にドイツ統治期の植民地政策と南アフリカ…