京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

フィールドワーク・レポート

フィールドワーク・レポート

フィールドワーク・レポートは、附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センターが実施している「エクスプロ―ラー・プログラム」の成果です。大学院生は、このプログラムの下で、それぞれの研究対象地域において臨地研究(フィールドワーク)に従事して、地域で起きている新たな事象をみずから発見し、それを探求することによって、研究として深化させてきました。そういった知見の第一報がフィールドワーク・レポートであり、現場で得られた新鮮な感覚にあふれています。

オンラインイスラーム市場の変容――マレーシアを事例として――

対象とする問題の概要  スマートフォンの普及により、オンライン市場が発展しているマレーシアにおいて、近年ではSNSとE-commerceを合わせたソーシャルコマースが流行している。また、そこではイスラーム的商品の販売が活発に行われており、こ…

インド・西ベンガル州におけるハンセン病コロニーに関する人類学的研究

対象とする問題の概要  ハンセン病コロニーは、ハンセン病に罹患した患者が自分の家や村を追い出され、空き地に住処を作ることで形成された。当時彼らが物乞いのみで生計を立てていたことから、2000年代に入ってもインドのハンセン病研究はハンセン病差…

「自然-社会的なもの」としての水の利用・分配に関する研究――東アフリカ乾燥地の町における事例をもとに――

対象とする問題の概要  東アフリカの乾燥・半乾燥地域に分布する牧畜社会を対象にした民族誌的研究では、「水」は不足しがちな天然資源として捉えられてきた。そして、水不足の問題が人道的・倫理的な介入の対象となってきた。それゆえ、この地域を対象にし…

現代マレーシアにおける資本主義とイスラーム経済のもつれあい――イスラーム型保険を事例に――

対象とする問題の概要  私が研究対象とする「タカーフル」とは、端的に言えば「イスラームの教義に則った相互扶助の仕組み」である。私たちが一般的に思い浮かべる生命保険や損害保険といった商品に近いが、ムスリム(イスラーム教徒)が利用できるように工…

ジャカルタにおける都市住民の洪水対策における隣組(RT)・町内会(RW)の役割

対象とする問題の概要  世界的に都市災害が増加、激化する中、災害時の被害軽減のためには構造物対策だけでなく行政と連携した地域コミュニティレベルの防災活動が重要であると言われている[辻本2006]。ジャカルタで顕著な都市災害としては洪水が挙げ…

ベンガル湾を跨ぐタミル系ムスリム移民のネットワーク――マレーシア・ペナン島における事例に着目して――

対象とする問題の概要  ベンガル湾沿岸地域は従来、海を跨ぐ人の移動を介して相互に繋がり合う1つの地理的空間であった。一方、近代国家体制とそれに基づく地域区分の誕生により、ベンガル湾の東西はそれぞれ東南アジアと南アジアという別の地域に分断され…

ラオスの小規模輸送を可能にする長距離バス――家族経営の公共交通機関――

対象とする問題の概要  東南アジアの内陸国であるラオスは、山岳地帯が国土の多くを占めている。道路輸送が全モードの輸送量のうち大半を占めるにもかかわらず、道路の舗装率は周辺国に比べて低い。時間と費用共に輸送コストが高く、大規模なサプライチェー…