京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 COSER Center for On-Site Education and Research 附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センター
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科

フィールドワーク・レポート

フィールドワーク・レポート

フィールドワーク・レポートは、附属次世代型アジア・アフリカ教育研究センターが実施している「エクスプロ―ラー・プログラム」の成果です。大学院生は、このプログラムの下で、それぞれの研究対象地域において臨地研究(フィールドワーク)に従事して、地域で起きている新たな事象をみずから発見し、それを探求することによって、研究として深化させてきました。そういった知見の第一報がフィールドワーク・レポートであり、現場で得られた新鮮な感覚にあふれています。

都市周縁に生きる人々と政治的暴力の関係についての研究――ザンビアの鉱業都市の事例――

対象とする問題の概要  独立後のアフリカ諸国の特徴のひとつとして、都市への急激な人口流入が挙げられる。この人口流入は、独立後の都市偏重型開発政策によって広がった都市と農村の所得格差、雇用機会の安定性の相違によって、都市における労働力需要を超…

カンボジア北東部における観光開発と先住民の生活変化

対象とする問題の概要  北はラオス、東はベトナムと接するカンボジア北東部の山岳地帯、ラタナキリ州には伝統的には狩猟採集と独自の文化を営んできたとされる複数の先住民グループが存在している。現在彼らの生活は、国家による開発の対象となり、繰り返し…

インドネシア熱帯泥炭地における水文・気象現象の把握

対象とする問題の概要  いま、気候変動による異常気象などが多発しており、温室効果ガスの排出や炭素吸収源として熱帯泥炭地の役割は世界的に注目されている。インドネシアにおける熱帯泥炭地の炭素貯留量は57.4Gtであり、これは東南アジアにおける熱…

ヒマーラヤ地域における遊びと生業――Sermathang村を事例に――

対象とする問題の概要  私がフィールドとするヒマーラヤ地域は、「世界の尾根」とも呼ばれるヒマーラヤ山脈の影響を様々に受けている。そしてもちろん、そこに暮らす人々にも、気候や経済活動などの面で影響は及び、ヒマーラヤ地域には独自の文化や産業があ…

エチオピア西南部高地における日用具と生活文化の保全に関する地域研究

対象とする問題の概要  エチオピア西南部の高地に住むアリの人びとは、バルチモアと呼ばれる木製の3本足の椅子を日々の生活で利用している。調査対象にしたジンカ市T地区に生活する人びとは、バルチモアだけではなく、プラスチック製椅子や複数の素材を組…

近代教育と牧畜運営のはざまで――ケニア、コイラレ地区における就学の動機――

対象とする問題の概要  1963年に英国からの独立を果たしたケニアでは、国家開発のためのさまざまな教育開発事業が取り進められてきた。例えば、2003年に初等教育無償化政策が導入され、それによって子どもの就学率が急速に増加した。また近年では、…

ザンビア国ルサカ市都市周縁未計画居住区における し尿汚泥管理に関する実態調査

対象とする問題の概要  世界では、ピットラトリンや腐敗槽などの基本的な衛生施設を利用可能な人数は増え続けている[WHO/UNICEF 2023]。これらの施設を維持するためには、施設からし尿を引抜き、処理場まで輸送するための労働者(以下、「…

ルサカ市周縁の未計画居住区における生活環境の糞便汚染実態の調査

対象とする問題の概要  下痢は世界における死因の中で最も重大なものの1つである。特にアフリカでは下痢は重大な問題で、2019年に世界で150万人の人が下痢が原因で亡くなっているが、その約3分の1となる49万6千人がアフリカで亡くなったと報告…

ナミビアにおける女性のライフコースの変遷――ジェンダー平等実現への取り組みに着目して――

対象とする問題の概要  本研究は、ナミビアにおける女性のライフコース[1]の変遷を、同国が実施しているジェンダー平等実現に向けた取り組みに着目して明らかにするものである。1990年に独立したナミビアでは、憲法第10条で性別によるあらゆる差別…